虚構のアイランド


ほぼ毎日2本ずつ更新します。
下からお読みください。


後日まとめて掲載します。

無断転載はおやめください。

記事一覧

  • その798

    20240718(木)07:05
    ネロは両手で潜水艦の動力用のレバーを握りしめたまま。
    前進するのに、常に前に倒している。

    方向なんて構っていられなかった。
    レーダー反応があっても、敵と認識して逃げる選択肢を取った。

    アイランド20

  • その797

    20240718(木)07:02
    「やだあ!やだあああ!」
    『嫌だ』と叫ぼうとしたネロ。
    恐怖心に駆られて、うまく発せなくなっていた。

    とにかく、遠くへ逃げたい。
    [スロープ・アイランド]と他の[アイランド]の境界線を越えたい。

    アイランド20

  • その796

    20240717(水)06:00
    気泡の噴射だけでも、後をつけられる危険性はある。

    だが、今のネロにそこまで気を配る余裕はない。
    彼にはただ1つ、扇浜から、[ノータブル]から逃げ切るのみしか頭になかった。

    アイランド20

  • その795

    20240717(水)05:56
    小型の潜水艦は180度回転し、[ノース・エリア]の陸地付近の海底から離れて行った。
    潜水艦の全高分だけ浮上して、[スロープ・アイランド]の西側の海中を潜航した。
    加速をつけている為、潜水艦の背部のブースターから大量の気泡がブクブクと溢れ出る。

    アイランド20

  • その794

    20240716(火)06:09
    彼は狼狽して、慌ててレバーを握っていた。
    何かに追われているのか、蒼白な表情になっていた。

    「うわあああ!」
    ネロの悲鳴は泣き止まない。

    アイランド20

  • その793

    20240716(火)06:05
    ☆☆☆
    「う、うわあああぁ!?」
    潜水艦の操縦席にて、ネロは突如大声を出した。
    どのフロアを巡っても、この艦には彼以外に誰もいない。

    アイランド20

  • その792

    20240715(月)07:31
    私の泣き声以外、格納庫に響き渡っていなかった。
    [ノータブル]の隊員達は、黙って整然と立っているだけ。
    総指揮官の扇浜だけ…引き裂く仲のシーンを見て、ニタニタ笑っていた。

    「ネズミは雌だけじゃなく、『雄』もいるよなぁ!輝の『弟』よお!」

    アイランド19

  • その791

    20240715(月)07:25
    普段、悲哀の涙を流す事があっても、大声でむせび泣くまではいかなかった、今までの私。
    現在、銃弾の傷口から血を垂らし続ける彼が眠りについたのを目の当たりにして…嘆いてばかりいた。
    鏡に私の顔を映し出したら、酷く荒れた表情だと知るだろう。
    それほど、私は今、人生で初めて、身に染みる悲劇に遭遇した。

    アイランド19

  • その790

    20240714(日)05:40
    身体の体温が冷たい。
    脈の鼓動も、止まってしまった…。

    「輝さん…輝さん!?
    お願いです!返事して下さい!輝さん!輝さん!!輝!!!」
    いつの間にか、名前を呼び捨てしていた。

    アイランド19

  • その789

    20240714(日)05:36
    吐息混じりでゆっくり話しかけていた言葉は途切れた。
    金髪ストレートの端正な顔立ちの若い青年の瞼が、閉じられた。
    眠る子供のように、自身の頭を横に倒した。

    彼に、再び起きる気配はなかった。

    アイランド19