9・協議の日

★★★
『わざわざ来てくれてご苦労だったなぁ、グロス君。』
「ご指名頂き光栄です。」
宇宙船内、トンケの部屋。
グロスは奥のモニターに映る者に頭を下げた。
相手は[レッド研究所]のクーランだった。
薄暗い部屋で椅子にもたれ掛かっていたクーラン。
迷惑かけた事も微塵に思ってない。
『こんな連絡する必要もないがな…形としてやっとこう、てな。』
「そうですか。」
『聡明なお前さんなら、とっくに調べはついとるだろう?』
クーランが聞いてきても、グロスは驚かなかった。
彼の述べたい内容は、グロスには想定内の範疇だった。
「やはり、ラルク案件でしょうか?」

クーランはニタリと歯を見せた。
『賊団の智将なら察したんだろうな。
実はな、マルロが消えた後は動こうかと決め込んでいたけどなぁ。
やっぱり面倒くさくなっちまって。
そこでお前さんに白羽の矢が当たったんだわ。』
「ビウス殿はよろしいので?」
『あれは猪突猛進だ。何も考えてねぇよ。』
クーランは首を横に振った。

『それにグロス、[トンケ団]はほぼ土星圏の浮浪者の集まりだろう?』
「テメェ…俺達を奈落者呼ばわりすんのか!?」「トンケ様!」
『すまん、言葉が悪いな。土星圏にニコンという星があるだろう?』
「!?」
『ニコン』の名前にトンケ達は過敏に反応した。
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