9・協議の日

(こっちは援護すればええか…あとは。)

武人が問題視する敵が1体、存在した。
トンケ団の団長、トンケ・スパークス。
HR形態名は【イント・バイアス】。
相手したのは側近兵と警戒にあたった【パスティーユ】。
すなわち、白井3兄妹。
【サニー】でトンケの相手をしているのだが。
武人は窓辺から見て、【サニー】の変化に気がついた。

(外装が溶けとるな…!)
トンケのHR形態【イント・バイアス】の特徴、それは『溶解』。
HR形態だと彼の身体に触れただけで、手が溶けてしまうのだ。
特殊な材質加工とバリアの消費のおかげで、【サニー】は五体満足でいられるが。
(一番援護が必要やな。)
武人は3兄妹vsトンケの戦闘に目星をつけた。
3階の開いた窓から飛び降りようと決めた時。
銃声が鳴った。弾は会議室の壁に穴を開けた。

グロスが震える手で小型銃を発砲していた。
「トンケ様の、前に、誰かを、忘れてませんかぁ!」
彼はうまく話せてなかった。
武人はグロスに顔を向けたが、その視線は下っ端を見下す様な侮蔑的な眼差しだった。彼は黒縁のメガネを押さえて、グロスに尋ねた。
「聞きたい事、あるんやけどな。」「な、なななんです!」
グロスは必死に言葉を紡いだ。

「トンケのHR形態は、【イント・バイアス】って名前やな?」
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