9・協議の日

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土星圏の首領陣との会議に使用した会議場は、[ラストコア]のアメリカ支部が独自に設計した建物だった。
3階の大会議室のテーブルが特殊な構造になっていた。
テーブルの中に巨大な直方体のケースが搭載されており、避難の際にリュート達を収容した。扉を閉めるとケースのみ降下した。
会議場の真下は、[ラストコア]の臨時支部に繋がる地下通路があった。
智将のグロスと言えど、このルートは予測できないだろう。
ひとまず、リュート達の無事は確保できた。

残されたのは武人と、固定済みのテーブルに散らかったイス。
震えるグロスと、銃撃で倒れた手下達のみだ。
(さて、戦況はどうなっとるかやな。)
武人はグロスが開けた窓から、外の戦闘を確認した。
上空は木目調の茶色の宇宙船…【ティンバルン】と武人は文字を読み取った。
トンケ団の宇宙船はアレックスのAI達が交戦していた。
【ティンバルン】は武装のみで、AIやロボは存在していない。
(【ティンバルン】はすぐ落ちるなぁ。これはええか。)
武人は視線を上空から地上に移した。

会議場の近くでは言うまでもなく、激しい戦闘が繰り広げられていた。
トンケ団の団員が操縦する角張ったロボ達は、王家フレアランスの側近兵が相手していた。
能力差はあまりなかったようだ。
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