9・協議の日

「貴様!一体どこにいたんだ!」
リュートは武人に怒鳴った。武人は動じる事なく、あっさりと答えた。
「最初から上におった。小型端末の映像に怪しい所なかったからなぁ。勘付かれずに侵入できると見込んで、最終的にココに辿り着くと予想しとった。」
「そうですか。ですが言い訳なんて…。」
「言い訳すんのはお前らやろ?そこの王子、お前らの顔見知りとちゃうんか?」
「何、ですと?」
グロスは武人からリュートへと顔を向けた。
彼はもう一度、髪の毛をよく観察した。

(この方は藍色の髪をして…目は細くなりましたが、瞳の色は…!)
「あ、ああっ!」「グロス様!」
手下達はしゃがむグロスを両脇で支えた。片方が武人に銃を発泡する。
武人は避けて、弾は天井の照明に当たった。会議室が暗くなった。

「気づいたやろうけど説明するわな。リュート王子は拾い子や。
彼の出生は水星圏ラドム。
藍色の髪と瞳が特徴の、地球人と種族が似てる星や。」
「ラドム…ですと?」
「今はもう滅んでなくなっとる星やけどな…。
聞いた噂やと、トンケの天敵やて。
トンケは力を出すと肉体で物を溶かす能力持ってるんやけど、リュート王子相手には効かへん。
リュートはラドム人やから、温度の耐久性が高いんや。
水星圏はどの種族もそうらしいんやけど。」
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