グロスはテーブルの周り、首領陣の後ろでゆっくり歩いていた。
首領陣の表情は、病気で苦しんでいるような表情をしていた。
「彼らを黙らせたのは、貴様か？」
「いくら智将の私でも、わざわざ出向いて手駒にしませんよ。トンケ様の命令と私の戦略で、団員を動かしているだけです。」

まあそれはさておき、と言い放った時、グロスはリュートに近づいていた。
「リュート王子？貴方様は原始地球よりも、もっと身近な故郷のご心配をなさってはいかがです？」
グロスは板状の電子端末を取り出し、映像を流した。
「！？賢者様！」
リュートは映像に映る人物の呼称を口にしていた。
後ろでサレンの表情も一変した。
「これでニコンが落ちるのも時間の問題ですよ？
土星圏の支配は我々［トンケ団］が管理していきます。
原始地球の皆様？宇宙進出は望めないと覚悟してくださいね？」

「それはどうやろうな。」「何？」
会議室の天井には、空気の流れを良くする通気口があった。
黒く硬度のある通気口の網を外し、網はテーブルの上に着地した。
首領陣は驚き、頭を両手で守って姿勢を低くした。

網の次は…人間。
いや、人間の男性の姿をしたＨＲ。
彼は着地に成功すると、グロスに銃を向けた。
「…貴方は、ラルク…？」
「悪いんやけど、俺は黒川武人って言うねん。」