9・協議の日

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土星圏の星々の首領陣との会議の前日までには、既に各々の宇宙船が地球に到達していた。
同時降下では事情の知らない地球人が慌てふためく恐れがある理由で採用しなかった。
1隻ずつ、電波の伝達によって降下作業を行なった。

土星は他の惑星と比べて、派生した星が多い惑星だった。
地球にやってきたのは、その中の幾つかの厳選された星々の首領陣。
元々フレアランス王家と親睦が深い星や、事前交渉の末に会議の都合をつけてくれた星まで。

よりどりみどりの特徴的な見た目をした星の住人達が、大きな会議室のテーブルの両脇に座っていた。
「これより交渉会議を始めます。」
会議室の奥、ホワイトボードの左手前にいたサレンが会議の司会進行を担った。
サレンの隣には、会議の主役であるリュートが座っていた。

「まず初めに、自己紹介を始めます。呼ばれましたらご起立とご挨拶をお願いします。」
サレンは1冊の冊子を取り出し、順番に名前を読み上げていった。
最初にリュートの名前が呼ばれてから、時計回りに首領陣を紹介していったサレンだった。

「出席者全員の自己紹介を終わります。司会進行はリュート王子の側近である私、サレン・D・フェルテがお送りします。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。」
サレンは小冊子を静かに閉じた。
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