9・協議の日

☆☆☆
土星圏の星々の人達との会議、当日。

アメリカ東部の会議場は、有名人の豪邸並みに膨大な建物だった。
その周辺、半径100メートル程離れた地点に、リュート王子が言った警戒策を張っていた。
王子の側近が乗っているロボが数機散らばっている。
私達【パスティーユ】も同じように。

『ふぁ…。』勇希兄ちゃんが欠伸をした。
『みっともないぞ勇希。』
『だってよ、全然動きないから退屈だしよ。』
「動きなんて、ないに越した事ないじゃない。」
空手家なのに、緊張感なさすぎるよ。
王子やサレンさんが、会議の交渉に尽くしている最中なのに。
眠気がするのは私もだけど。
『武人兄ちゃんは中にいるんだよなぁ。』
『最後の砦、の存在だからだろう。
会議場に入り込まれたらおしまいだからね。』
「武人兄ちゃんはHRで人にもロボにもなれるんだから、応用がきくんだよ。」

勇希兄ちゃんはムッ、として私に言ってきた。
私の発言が刺々しく聞こえたからかな。
『お前さ、勉強のし過ぎで疲れてるだろ?会議が終わったら息抜きしろよ。今読んでる漫画でも貸そうか?』
「勉強は好きでやってるわ。それに勇希兄ちゃんが読んでる漫画って、スポーツものばかりじゃない。」
『スポーツ漫画舐めんじゃねぇよ!』
モニター越しに勇希兄ちゃんがギャンギャン吠えた。
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