9・協議の日

足を止めたトンケの口から出た内容は、意外な話だった。
「奴の故郷は滅んじまってるらしいな。」
「あの特徴はかつての水星圏の類いでしたね…。」
「生き残りの奴が十数年も長らえていると思うか?賢いお前なら、すぐ答えが出てくるだろう?」

グロスは目を大きく見開いた。
「そうですね…例え侵攻で生存したとしても、生命維持の栄養素がなければ…。」
「あのガキもくたばってるさ。保護されようが、必要物資が足りねぇと生物は生きていけねぇ。
グロス、追加依頼だ。兵の何人かにニコンを侵略させろ。
土星圏を手中に収めたら、ラルクさえも手出しできねぇだろ?」
グロスはトンケの言葉を聞いて、思考を巡らせていた。

ラルクは現在地球にいる事実。
地球は他星よりも宇宙渡航の開発が遅れている現実。

(とすると、宇宙進出には土星圏の者達の力が必要になる…。
我々が土星圏の制圧に成功すれば、ラルクと地球人達は宇宙に上がれずに…。)
「うまく人員を調整しましょう。ニコン以外は忍ばせたスパイ達筆頭に動かせます。ニコンに兵の多くを向かわせます。」
「地球はどうする?」
「トンケ様と私、残りの兵で十分かと。ラルクと地球産の最新ロボさえ攻略できれば、地球が落ちるのは時間の問題です。」
グロスはそう進言した。
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