9・協議の日

国際電話のプランも充実してきた現代となっては、利便性も向上してきた。
海外に縁のない俺が、国際電話を使うなんてな…。
俺・白井勇希は[ラストコア]の臨時支部にいる。
アメリカ東部に広がる海の底の建造物に入っている。
愛嬌湾内の[ラストコア]は敵にバレた理由で一時撤退となったから。
臨時支部となると流石に、愛嬌市に戻れそうにないから。
俺は初めての国際電話を利用する事になったんだ。

電話の相手は友達。共に空手の修行をする同士だった。

『もしもし?』「燈太(とうた)、久しぶり。」
『その声、勇希!?久しぶり!元気にしているの?』
「俺は平気。」
『ずっと心配してたんだよ?課外活動は順調?』
「順調さ。あと2ヵ月で帰れるからな。燈太は?夏の大会どうだった?」
『…予選大会準決勝で…。』「いいとこ行ったじゃねぇか!」
『でも…くやしいよ。負けたのもくやしいし、何より勇希がいなかったのが、寂しくて。』「燈太…。」
[ラストコア]の仕事を表に出せないから、普通に学生生活を楽しんでる燈太に打ち明ける事ができなかった。
本当だったらもう帰れる頃合いだったが…[宇宙犯罪者]とか言うHRとの戦いが激化して、3ヵ月期間が延びたんだ。

燈太は優しい性格だ。
黙っていて不安にさせているのは俺なのに。
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