8・業火の日

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【パスティーユ・フラワー】が諸島付近の海上に止まって、数分が経過した。
『追いかけて…こない?』
【チタン・キュレン】の頭部が左右に動いた。
【フラワー】の姿が見えない事に気づいたのだ。
『何故だ。俺を逃すと地球が危ないと判断しているのだろう?何のつもりだ。』
マルロはますます、思考が回らなくなったと嘆いた。
もう一度、冷静になって周りを見渡す事に決めたのだった。
(先程の方向へ戻るか…。いや、あの諸島には火山帯があった。下手をすれば俺が放り込まれる…!そうだ。)

【チタン・キュレン】の行動は早かった。
彼は北を目指したのである。
マルロの考えた北とは、北極の事だった。
熱や炎に弱い分、水や氷に強いマルロの身体は、極寒の北極には最適だった。
『戦略とは、自分に有利な様に状況を変えるんだ。
原始の地球人には長時間、寒さに耐えられないはずだ。』
マルロには攻撃する敵がいない為に、自由に動き回れたのだった。
『俺を1人にさせたのが盲点だったな!哀れなガキども!』
マルロは調子良く言い放つと、【チタン・キュレン】のスピードを上げた。軍隊の戦闘機の倍のスピードを出していた。

『こっちは幾度の戦闘経験を積んでいる!マグマの罠なんかに引っかかるものか!ガキが引っかかればいいさ!』
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