8・業火の日

天王星圏スイルの民であったマルロは、種族柄水中でも暮らせる生物でもあった。
海王星圏ミラニアのニシア・ぺディルドみたいに、海洋生物と密接した生物ではない。
しかし、天王星圏の星々は基本、氷で覆われた冷水の中で生活してきた。
はっきり言うと、マルロは海などの水中戦が楽だった。
ところが【チタン・キュレン】の武装は、水中戦では弱体化するという矛盾が生じた。
水中戦が得意ならば、水中に特化した武装も持つはず、だが。

(俺達[ヒーストン]は幼少期から虐げられてきた。スイルの種族柄、小柄な体躯は他の族にとって格好の獲物だったんだ。
星も幾度か移っている。)
生物とロボットの禁忌の子供であるHRは、嫌われ者の存在。
故郷のスイルでも拒まれて、帰ることができなかった。

(だから、この星の海で静かに暮らしたい。
地球人に海底の生活は無理だ。
ならば、俺達の故郷にしてもいいだろう。)
【チタン・キュレン】の方向は、岩山と逆向きへ変わった。
6/29ページ
スキ