8・業火の日

炎の中、マグマの中は高温で、おそらく地球上の生物は生きながらえないだろう。

そうか。北極は灼熱のマグマ地獄ではない。
地球の常識だ。なぜ常識を疑わせようとしたんだ…。
何か裏がある。人工物か、異常気象か…。
【パスティーユ・フラワー】のパイロットは異常気象と言っていた。
異常気象はありえない。
地球の他の惑星も、気象の変化は時間をかけてゆっくりと進行している。昨今の地球の異常気象も、背景に温暖化が関わっている事が原因、と言われている。
急速に大地が変化する程の荒れ模様は聞いたことがない。

だとすれば、地球人の人工物しかないだろう。
マグマの流れは滑らかだった。
雲の形の輪郭も、現実に存在するかの如く複雑に描かれていた。
地球人でここまで細かく演出できるのは、映像技術の類ではと仮説した。
『俺のトラウマを刺激したわけか…。ククク、随分姑息な真似をしてくれたな、クソガキ共!』
足裏からバーニアを噴射していた。
俺は全身を上昇させていた。地上へ、空中へ出るために。

もう阻む難敵はいない。
能力をフルに使って、ガキ共を落としてやろう。
真面目に教育を受ければよかった、と後悔するほどに。

クソガキ共。貴様らに幸福など望めない。俺が終わらせるのだから。
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