8・業火の日

☆☆☆
もう終わりか。32年、だろうか。
生命を奪う罪を犯したからだろうか。
業火に焼かれて消滅する刑に服して当然だと思った。
部下の話からは、どこにでもいるような、普通の可憐な少女だと聞かされた。裏表のない、清純な女の子。

傷みも汚れも知らない、純粋な子供と想像してた。
彼女を戦士として成長させたのは[ラストコア]か、ラルクか…。
あんなに可愛らしい女の子だったら、静かに穏やかに暮らしてほしかったのに。星間戦争とは無縁の生活を送って欲しかったのに。
今更敵に何を願っているのだろう。
どうせ自分は生還できまい。
このまま落ちるだけだ。
マグマの中に…マグマ?

俺は手足をバタバタさせた。普通に動ける状態だった。

全身に伝わるマグマの温度が…冷たすぎる?
マグマは数百度から数千度の高温の溶岩のはずだった。
今感じる温度は…雪山に立っている時と同じぐらい冷たい低温だった。違和感を覚えた。
視界もマグマの割には、鮮明だった。
炎も光と同じように、眩しさを感じるのだが。
目が痛くない。にじみは少しあっても、奥に何があるかわかる。

生物も僅かながら潜んでいた。
地球人ならば、プランクトンの名前は聞いた事あるだろう。
微生物が潜んでいるのは、アイカメラで把握できた。
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