8・業火の日

ジェームズは武人の目を見ていた。
いつも眼鏡をかけていた武人だが、今は外していた。
素顔の武人だった。

彼の目は真っ直ぐだった。
どこにも行かない、真剣な眼差し。
ジェームズは武人の瞳から、燃え上がる闘志をひしひしと感じていた。

「久しぶりに見たな。その目。」
モニターの映像に映る【パスティーユ・フラワー】は、【チタン・キュレン】の技を受けて戦い続ける。
機体のあちこちに傷が山程できても、耐え抜いている。

「マルロの魔法みたいな攻撃ってな、アイツに近づけないよう細工もしよるねん。それをわかってて、あの子らはワザと近づこうとしとる。」
「ワザと…?」「所詮捨て身ってやつやな。マルロの場合、細かい攻撃を仕掛けよるから、正攻法で攻略はしにくいようできとんねん。」
「…いいのか、それで。子供達は…。」
「言うたやろ。もうあの子らは決心がついたんやて。もう逃げられへん。十分わかっとるで、あの子らは。」
武人は戦闘シーンを映すモニターに視線を戻した。

「お前の紹介は、いつになったらできるんや?」
「もうすぐだ。志願者達の訓練も済んで、正式投入の審査だけだ。」
「おもろい物語書きよるな。お前の彼女。」
「恋人じゃねぇよ。学生時代の友人だ。」「そうやったな。」
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