8・業火の日

生物側の遺伝もくまなく調べた。
星々によって、生物達の能力も変化するからだ。
『差別化』で、HRに個性が生まれた。
ほとんど戦闘能力による差であり、性格などの内面まで変化はなかった。
今でもHR達は、権力の強い者に依存してしまうのだった。

「マルロって奴なら独立できるだろ?」
「アイツのように自らで思考して知で攻略するHRはそうそうおらん。賢い子はおるけどな、権限を任せられる奴は少ない。多分、他の理由やな。」
「他?」「地球も似たとこあるやろ?資金源やら拠点やら…独立するには準備が必要なんや。」
「そのクーランとは…。」「契約を結んだ形ちゃう?」

個室内のモニターから、大きな音がした。
もちろん映像の音声だが、音量に迫力があったのだ。
「障害物はないんだがな…。」
「やっぱマルロは罠を仕掛けんのが得意やな。脱出を防ごうとしとる。」
「張本人が全く動かんな。【フラワー】は動きすぎではないか?耐えられるのか?」
ジェームズは未衣子達の勝敗の行方を心配していた。
エネルギー切れはHR以外のロボの活動を停止するからだ。

「いや、あの子らはもう心に決めとるんや。ギリギリまで粘るかもな。もしもの時の予備エネルギーも持参しとる。」
「勝てるか?」
「勝てる。今のあの子らに迷いはなくなったんや。」
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