8・業火の日

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[ラストコア]臨時支部。
武人はジェームズとマルロ戦を観ていた。
ちょうど北極と海の境目に設置された、数十個の仮想空間の展開装置が起動した頃合いだった。

「見抜くとは、思ったんやけどな…。」「簡素なつくりだしな。」
「それ程アイツにとって、炎はトラウマやねんな。」
「交戦経験あるの…だったな。」
「ニシア程やない。天王星圏はHR多いんや。【ホルプレス】になった奴もたくさんおる。」
武人は以前から、マルロの噂は聞いていたのである。
『かなりの戦略家のHRがいる』とクーランから聞かされていた。

HRは大抵が、権力持ちに拾われる存在だった。
王家、軍隊、研究機関など。幼少期から拾われ、使役される存在。
指示や命令等、彼らには常に任務が与えられていた。
それを消化する日々が続いた。
結果、戦闘要員として育成されたHR達に、思考能力が育ちにくかった。ロボ形態に変形するよう改造された肉体で、十分生物を倒せるからだ。

ところが、HRの人口が増えていくにつれて、HR同士の争いも増えた。
同じ力を持つ者でぶつかる場合、能力は拮抗する。
ただの力比べの勝負では生き延びれないHRも増加した。
そこで、HRを従える権力を持つ者達を筆頭に、HRの『差別化』を図ったのだ。戦略も技術も一新した。
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