8・業火の日

☆☆☆
【パスティーユ・フラワー】で北極までたどり着いた。
【フラワー】はスピードが低めだから、速度をあげるにはエネルギーが必要だった。
和希兄ちゃんが計算してくれて、最短距離で北極に行けた。
まだ約8割は残している。

北極と海の境目付近(地図上)で立ち止まる敵を見つけた。
マルロが地球の異常気象について言及していたので、日常茶飯事だよと返しておいた。正確には、簡単な話し言葉だけで済んだけど。
マルロはこっちを向いてくれた。もうこれで、戦闘を再開できるね。

でも、マルロは鼻で笑ってきた。
『フン、どうせ北極限定だろう。入らなければ…。』
【フラワー】は既に動いていた。速度を上げてのタックルだった。
お喋りを始めたんだから、隙があるなぁと思って、レバーを前に強く倒したんだ。

『未衣子!移動にエネルギーを費やしすぎるな!』
「大丈夫、中に押し込むだけだよ。」
仮想空間だから、擬似マグマに沈ませても無駄だし。
お喋りなマルロは予想通り、回避しなかった。
『え、な、うおっ!?』
変な声をあげてすぐ、球状のバリアを張った。
私達はそれのせいで弾かれた。咄嗟の防御で威力自体は弱かった。

「怯えすぎ。溶けて無くなるのはこっちも同じなのに。」
『…何?』「私達も熱に弱いからね。」
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