8・業火の日

マルロはこの泥が何か、一目でわかった。
『溶岩か!?』
溶岩の勢いは激しく、遠くの距離まで飛沫が飛んでいった。
火の粉の様に飛びかかる溶岩のかけらを、【チタン・キュレン】は必死に回避した。
回避自体の難易度は彼には易しすぎるレベルだったが。

『ちょっとでもやけどしたら…。』
元々氷や雪に慣れていたマルロには、高熱の炎は恐怖の対象だった。

彼は過去に8つの星を滅ぼした[宇宙犯罪者]である。
星の制圧行動時、滅ぼされた星の民の猛攻は幾度もあった。
中には炎を駆使した種族もいたのだ。
マルロは臆病者になり、部下を使役してその星を潰したのだった。
(部下達はよくやっている。臆病者の俺を、十二分に支えてくれている。複雑なロボの【パスティーユ】は俺が沈める。逃した俺の責任だ!)

【チタン・キュレン】の頭部は左右に振った。
炎に怯えるマルロ自身を立て直す行為なのだろう。
氷一面だった白い光沢は、一瞬で真っ赤に染め上げられた。
マルロに、【チタン・キュレン】に足場がなくなっていった。
燃え盛る溶岩だらけで、落ちたら1発で機体が溶ける状態にまで変化していった。

空は黒い雲に覆われ、落雷の瞬間も捉えていた。
『冷静に考えると、急に気象が変化するとは…。』
『最近の地球は異常気象に見舞われてるよ。』
『!』
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