8・業火の日

武人は個室を離れていた。
愛嬌湾内に潜む[ラストコア]本部の撤退作業に移っていたからだ。
マルロ戦の任務につく者だけを残し、皆機器等の移送に専念していた。

武人は他の[ラストコア]のスタッフと共に、アメリカ東部海底の臨時支部で身体を休めていた。
回復は順調で、横たわっていない。
臨時支部の個室で、武人は壁際のモニターの映像を観ていた。

これから始まる[宇宙犯罪者]のHR、マルロ・ヒーストンとの対決の中継だった。
4つのカメラで撮影されており、画面も4分割で表示されていた。

「マルロも子供らも出た頃合いやな。」
武人は常温のお茶を飲んだ。
【パスティーユ・フラワー】が手持ちのロッドを振るい、放射攻撃でマルロの部下を蹴散らしていた。

「頼むで君達。地球を守るには、君達現地人の強い意志が必要なんや。
俺は庇うのはできる。でも他力本願ではいつかボロが出てしまう。
力は貸した。
あとはうまく、力を使いこなしてくれ。」
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