7・告白の日

だから、私は正直者になった。
「ねえ兄ちゃん。10年前の襲撃事件の中心にいたのは、兄ちゃんだよね?」

武人兄ちゃんの頭が少し動いた。図星だったかな。
「…誰か密告した奴おったんか?」
「誰も教えてくれなかったよ?」
むしろ[ラストコア]は基本、口が硬い人達ばかりだし。
初めて[ラストコア]に来た時に西条司令からの話では、
『10年前の襲撃事件を機に設立した』
位の簡単な説明だけだった。
事件の中心に武人兄ちゃんが絡んでいた情報は、何も聞かされていない。
だから、私が襲撃事件のかなり入り込んだ詳細について知っているはずがないんだ。

でも私は知っていた。
「『夢』かな。根拠はないけども。
私、同じ夢を見るって話をアレックスさん達にしたんだよ。」
「!」武人兄ちゃんの頭がまた動いた。
「私ね、確信したんだ。私はずっと、武人兄ちゃんの『夢』を見ていたんだって。10年もずっと。」
「それ程、苦しんでたんやな。」
「苦しくないよ。『夢』は生きがいだから。生きがいを否定する人が多くて、それが一番苦しかった。
だから兄ちゃん、本当の話を兄ちゃんからしてよ。
私は、兄ちゃんの力になりたいの。」
もう引き返せないかもと、自分でも自覚している。
だけど、この横たわる彼を、私は見捨てられないんだ。
9/29ページ
スキ