7・告白の日

研究所から逃げて、彼女と幸せになりたい。
もう、星を滅ぼす卑劣な任務はやめたい。
俺は深く願った。

彼女は王女様だった。
最初は猛反対されたが、彼女の必死の呼びかけで俺は認めてもらった。権力って凄い、と俺は実感した。
彼女の住む星で、俺は穏やかな暮らしを送っていた。
クーランの研究所には俺以外のHRが沢山いた。
所詮、俺も捨て駒で消えたようにされている。
だから、何の沙汰もなく数年間も、穏やかに過ごした。

彼女、名前はエトラトルと言うが、俺は意思表示が苦手であまり話せなかった。
エトラトルは優しく応えてくれた。彼女の笑みに、俺は救われた。

エトラトルのいる星、金星圏フェルホーンに、地球の交流会の企画があった。
地球の存在は知っていたが、行くのは初めてだった。

「地球の開発計画はさほど進んでないの。だから予約も現地に赴かないとダメ。…一緒に来て欲しいの。」
エトラトルは俺を誘った。小型宇宙船で地球に降下した。
交流会の交渉は難航した。どれくらいの距離を移動したかわからない。
だが地球の空気は美味しかった。
原始の生物が誕生するには相応しい星だって、エトラトルが言った。
幾度の年月を重ねてできあがる自然の景色は、俺達のいた星々の手を添えた空間よりも美しかった。
そして交渉も成功した。
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