7・告白の日

欲求はシンプルだった。

宇宙の何処かの星で、意識のある機械(生物達はこれを【ロボ】と呼んだ。)が生まれた。
生物達が生きるには支えが必要で。
生物達には有限の命で一生を添い遂げられなかった。
終焉まで、終の先も側にいてくれる家族が欲しかった。
これが【ロボ】の誕生に繋がった。
生物達は同志を集め、各々の精通する分野を、【ロボ】開発の研究に活かした。

現代の地球の年号からおよそ100年程前に、遂に【ロボ】が誕生した。地球へ情報が流れていない為に、地球人は【ロボ】の存在を知らなかった。

ここから、生物達と【ロボ】の共同生活が始まった。
この宇宙産【ロボ】には、受動的な記憶装置が組み込まれていた。
見て、聞いて、読んで覚える装置を、既に宇宙では開発していた。

1体の【ロボ】はある光景を目にした。
生命の誕生を。若い夫婦から生る子供から通じて。
【ロボ】は意志を持った。自分の魂を受け継ぐ者を残したいと。
【ロボ】は若いオスの研究者に申した。
研究者は複雑な心境で、初めは断った。
【ロボ】は補強を怠らなければ、無限の生命を得られる。
消えゆく運命に晒されないと。

しかし【ロボ】も初めて、意志を曲げなかった。生命の誕生に感動した。永久存在の運命でも、誕生の瞬間を拝みたいと。
1/29ページ
スキ