5・酔狂の日

水中では踏み台になる物はない。
火力を上げても、地上よりもスピードは出にくい。
だから、【スイム・ドランク】頭部まで近づくのには手間取った。
一度近づけば、後は回避行動を取りつつ、小魚の腹を潰せばいい。
武人の頭の中はそれで固まっていた。
『じっと見つめたかったんやろ?お前。』
『随分積極的じゃないの?いいわ、すぐに楽にしてあげる。』
【スイム・ドランク】の尾の動作が激しくなった。
武人は回避を選択するが、最終的に蛇のように巻き付けられた。
【ブラッドガンナー】の火力では、水の抵抗を抑えるのは困難だった。
ぎこちない動きしか出来ない【ブラッドガンナー】。
武人はあえて、この方法を取った。
両手は動けるよう、脇を開けた状態で巻き付けられた。
おかげで小型銃を、わずかでも使えた。
小魚達がニシアを守るなら…。

1尾の小魚が彼の目の前を過った。
武人は小魚の腹部分を、狙い撃ちした!
紫の液が噴射された。
方向はバラバラだった。
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