5・酔狂の日

「本当、貴方の勘は鋭いわね…。若年期の優れた能力といい…。」
「よせや。今は静かに暮らしてるんや。過去は振り返りたくない。」
武人が言った後、ニシアは武人の体に触れた。
武人は触れた手を握った。ニシアは顔を近づけた。
「ねえ。平和に生活したいんでしょ?」
「…何のつもりや?」
ニシアは掴まれてない手で武人の頬に触れた。
今までの会話の時よりも、声量を落とした。
「この星気に入ったの。星の民を刺激しないようにしてあげる。」
「…手を出せへんってか?」
「そう解釈してもらっていいわ。その代わり、」
ニシアはハイヒールのつま先を上げて、更に武人に接近した。武人の耳元で、ニシアは条件を提示した。

「私の恋人になって下さらないかしら?」

ニシアは美貌には絶対の自信があった。
髪型、お肌、チャイナドレス。
どれを取ってもボロは一切ない、完璧に綺麗な美人だった。
男性である武人が惚れないはずがない、と信じていたのだが。
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