5・酔狂の日

アレックスは元々、化学者の父を親に持った、裕福な家庭だった。
幼少期から父の研究を見てきたが、彼が危険な実験をしてから、父の研究室に出禁となった。
読書や学校の施設を借りて科学を学んだが、父に『お前に学者になる資格はない!』と否定をされた。
性格が歪んだ彼は、事件を起こした。
自分で独自調合した催眠ガスを、学校にばら撒いた。
この事件でアレックスは家族に見放され、施設に入れられた…。

今思えば愚かな行為に及んだと後悔しているアレックス。
だが子供時代の彼は親に実力を評価してほしいのに必死で…頭が回らなかった。
施設時代は虚な日々を過ごしていた。
たまたま施設訪問にやってきた男に救われるとは、この時のアレックスには想像できなかった。
男・武人に誘われるがままに、様々な経験を積んだ。
大学の博士号取得から、世界中の企業への技術提供に至るまで…。
アレックスは研究と発明を繰り返し、[ラストコア]の技術局長にまで昇進した。
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