4・暴挙の日

★★★
木星圏フォトムのHR、ヒスロ・インフィがクーランに捕縛されたのは、ほんの数年前だった。

クーランの巧みな発明技術の数々に翻弄され、巨大HR【アング・ウォール】は強度の高い線で縛られてしまった。

初めて負けを経験したヒスロ。
だが彼はクーランを「卑怯者」と呼んだ。
自身は表に出ず、発明品頼みでヒスロを落とす。
線で捕縛した後、薬の入った注射で細胞を破壊し、強制的に生物形態に戻された。
巨人のような体格の男であるヒスロだが、頑丈に絡まれた線は彼を不自由にした。
加えて、小さな窓しか光が差し込まない暗がりの石室で、ただ1人固定されていた。
孤独に苛まれた数年だったが、ヒスロにも解放の時が来た。
クーランの一報だった。

『地球にはラルクと地球人と宇宙人がいる。ラルク以外の生物が邪魔だ。其奴らを潰せ。』
内容は一貫して、任務遂行の件だった。
だがヒスロは内容を聞き取らず、「ラルク」の名前に反応したのだった。
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