4・暴挙の日

「説得とかしなくても、あのHRは倒せた筈なんだよね…。何であの子達は…。」
「感情移入でもしたのか、あのHRから滲み出た負の感情を、理解したのか…。」
「そんな事…わかるの?」
サレンは首を傾げた。
未衣子達とエストは初対面であり、ロボ越しでしか会ってない。
感情移入は難しい。
リュートは未衣子達が感情を読み取る事を成し得たんでは、と踏んだのだ。
「まだ子供だからな。困っている人を素直に助けたいという意志が強かったんだろう。事情を知る大人達は、思う様に体が動かないからな…。」
「救済…ねぇ。」
サレンはお茶の入ったコップに目を落とした。
アレックスはお茶のボトルを上に上げ、2人に尋ねた。
「おかわりあるが、もういいか?」
遠慮せずに、という彼だったが、2人は断った。
「私達も休みます。これからの生活を考えないといけませんので。」
「いい体験をありがとう。」
「大したモノじゃない。王子が為になったならそれでいい。」
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