4・暴挙の日

火星圏タレス、[レッド研究所]。
「やるねえ。お前さんも。」
暗い部屋で多数のモニターを眺めているクーランの声だ。
これはクーランの背後に立つ少年に向けて言ったセリフだった。
「切り捨てただけだ。これ以上、ベラベラ喋られるとこっちもイライラする。」
「お前らを刺激したんだなぁ。」
「自分が被害者だと思い込む面には、反吐が出るだけだ。」
「そうだなぁ。ま、ラルクを逃したのは痛いが?」
クーランが目だけで後ろを見た。
「俺達は只の運び屋。助っ人だ。任務に失敗したのはアイツでいいだろう。」
「それより報酬か。ま、約束はしたからな。」
モニター画面が切り替わった。文字の入った図表が展開された。
「食糧と物資だ。欲しいもんあれば換金でもして買えよ?」
「十分だ。元々戦しか知らないんだ。気分を満たす娯楽など持ち合わせてない。」
「冷やかだねぇ。」
クーランは図表を閉じた。その行為に少年は何の反論もなかった。モニターは映像だらけになった。
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