3・糾弾の日

「そうか…。」
武人兄ちゃんの返答はそれだけだった。
再びの沈黙。会話が続かない。
下手に話題を探しても、不穏な空気を打開するのは難しい。

私が内心焦っていた時。
「なあ、未衣子。」
また兄ちゃんが呼んだ。
「もし、俺が地球を苦しめる敵に回ったとしたら、お前はどうする?」
敵…?私達を助けてくれた武人兄ちゃんが敵に?
[ラストコア]の人達も信頼する兄ちゃんが敵に?
私は、兄ちゃんの言葉が飲み込めなかった。
ただ固まっている私の頬に、武人兄ちゃんの手が伸びた。
手から伝わる、兄ちゃんの熱。
私は答えを出さないといけないのかな、と本気で思った。

でも、私の考えすぎでもあった。
武人兄ちゃんの熱が無くなっていく。
兄ちゃんの手は、私の頬から離れていた。
「いや、気にせんでええ。君らはまだ子供や。もしもの時は宗太郎らに任せるから。」
兄ちゃんはちょっとだけ笑った。
私は答えを出さなくてよかった、と少し安心した。
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