14・忘却の日(終)

帰ってきたからと言って、急に友達ができるようにならない。
だから、私はいつも通り生活しているだけ。

この日も午前中に家事の手伝いを済ませた。
お爺ちゃんとお婆ちゃんが1階の喫茶店を切り盛りしている間に、掃除と洗濯をやった。
昼食も残り物の食材で調理して食べた。
勉強もキリの良いところで終わらせて…趣味の読書に没頭する。
読書の合間にホットカフェラテをちょっとずつ飲んでいた。

読書のジャンルは普通の小説だった。
現代の日常生活の風景を描いた、ほのぼのとした小説。
内容が入りやすいので、ページをめくる速度も早かった。

時刻は午後4時頃だろうか。
時計の短針は『4』を指していたから。
1冊の小説の本も読み終えてしまった。
あっさりと読めたからかな。

本を閉じて、棚に仕舞おう。
そう思って、立ち上がった時だった。
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