14・忘却の日(終)

★★★
起床時刻になり、睡眠不足でも起きざるをえなかった俺は、個室を出て朝食を摂ろうとした。
先に兄貴や未衣子は食べてるだろうと思い、直接食堂に向かおうとすると。
隣の個室の扉が開いた。
兄貴が利用している部屋だから、もちろん出てきたのは兄貴だ。
兄貴の顔も、げっそりしてた。
栄養失調等の衰弱化…まではいかないけど、兄貴も寝不足だって事は一目でわかった。兄貴も顔が赤い。

「兄貴、」「ああ…お前の泣き声聞いたさ。俺も夢の影響からか、涙が流れていた。」
「兄貴も…まさか。」
「王子とサレンさんも同じ夢を見ていたかもな…。勇希、気分はどうだ?」「寝不足だけどよ、起きないといけねぇんだろ?」
「俺達は一応、今は自由の身だ。未衣子に会いにいって、アレックスさんにノートを渡したら、ゆっくり休ませてもらおう。」
「そうする…。」
普段より声を低くして答えたが、ゆっくり休みたいのは本心だった。
しばらくは、もう何もしたくない。

とりあえずご飯と決まり事だけは守って、あとは兄貴の言葉に甘えてもらおう。今日の予定はそれだけでいい。
まずは食堂へ向かって、歩いていった。
急な用事のない俺達は、慌てずにゆっくりと進んだ。
夢の内容を引きずりすぎて、俺と兄貴の間に、会話が弾む事はなかった。
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