14・忘却の日(終)
『彼女らは特殊能力を持っていた。
眠っている時に共感・共鳴させる《夢》を見させる能力を。
それが未衣子に遺伝したんやろうな。』
「ちょっと待ってください、何で未衣子だけ受け継がれたんですか?」
『その能力は同性同士でしか育まれない、と検証結果も聞かされてな。』
武人兄ちゃんが語った俺達の母親像は、衝撃の連続ばかりだ。
兄貴は質問ができる程度には落ち着いていたけど、俺はずっと動揺し続けた。
『それで、俺が消えた事で…未衣子から俺の《記憶》が飛んだんや。
あの姉妹が共有したかった《夢》が俺やから。俺を失って存在を忘れるんや。』
「では…未衣子が今の空間に存在しないのは…」
『王子の推測通り、彼女は俺の《記憶》を忘れた。
だからここまで会いに来れないんや。』
王子の質問に俺と兄貴は気づいて、妹を探した。
左右と前後ろをキョロキョロ見渡した程度だったが。
『でもな、もういいんとちゃうか?』「え…。」
俺と兄貴も、王子もサレンさんも、武人兄ちゃんに視線を向けた。
『もういいんや、俺を思い出さなくても。むしろ、俺の事を忘れてくれた方が幸せやろ。』
「何を…言ってるのだ貴様!」
投げやり発言と捉えたのか、王子が兄ちゃんに突っかかった。
俺達の代弁のつもりだろう。
眠っている時に共感・共鳴させる《夢》を見させる能力を。
それが未衣子に遺伝したんやろうな。』
「ちょっと待ってください、何で未衣子だけ受け継がれたんですか?」
『その能力は同性同士でしか育まれない、と検証結果も聞かされてな。』
武人兄ちゃんが語った俺達の母親像は、衝撃の連続ばかりだ。
兄貴は質問ができる程度には落ち着いていたけど、俺はずっと動揺し続けた。
『それで、俺が消えた事で…未衣子から俺の《記憶》が飛んだんや。
あの姉妹が共有したかった《夢》が俺やから。俺を失って存在を忘れるんや。』
「では…未衣子が今の空間に存在しないのは…」
『王子の推測通り、彼女は俺の《記憶》を忘れた。
だからここまで会いに来れないんや。』
王子の質問に俺と兄貴は気づいて、妹を探した。
左右と前後ろをキョロキョロ見渡した程度だったが。
『でもな、もういいんとちゃうか?』「え…。」
俺と兄貴も、王子もサレンさんも、武人兄ちゃんに視線を向けた。
『もういいんや、俺を思い出さなくても。むしろ、俺の事を忘れてくれた方が幸せやろ。』
「何を…言ってるのだ貴様!」
投げやり発言と捉えたのか、王子が兄ちゃんに突っかかった。
俺達の代弁のつもりだろう。