14・忘却の日(終)

『俺も秘密裏で白井家の家族構成を調べたんやけど。まあ、俺もびっくりしたわ。
俺と未衣子達の出会いが、必然的だったと思い知らされたからな。』
「何言ってんだよ!俺達が最初に会ったのは、公園の襲撃事件だから偶然だろ!」
俺は反論した。武人兄ちゃんがおかしな発言をしたからだ。

『10年前。[天海山ユートピア]の旧地で起きた襲撃事件。
逃げ惑う人々の写真や映像から、小さい子供を抱えた母親の姿があった。』
「証拠が、存在したのか!」
王子が驚いた。家族構成を調査していた彼らにとっては、解決の糸口を発見したような事を言われたからだ。
俺でも驚くよ。
あまり機械に詳しくない俺でも、10年前はカメラの性能が良くなくて、写真も映像も粗く仕上がる傾向が強かった時代。
それらを保管していた事にびっくりしているが、特定までされるなんて…。

『わかりやすい髪の色やから、特定しやすかった。
ピンク色の女の子と赤髪の女性は目立ちやすい。』
ピンク色の女の子。
俺達の知っている中で存在するのは、未衣子しかいない。
10年前だったら未衣子はまだ3歳で、判断力は中学生の今よりかなり劣る。
当然、誰か大人が側にいないと危険に巻き込まれる。
3歳の子供にとって、身近な大人は両親等の家族だ。
未衣子も、大人についていくだろう。
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