14・忘却の日(終)

兄貴だったとしても、側にいてくれるだけで気分が少し良くなった。

男2人、浮いた状態で固まっていると。
「君達も閉じ込められたのか!?」
焦りが丸見えの、迫力がある男の声が聞こえた。
何で男ばっかり増えるんだよ…と呆れていたら、これまた[ラストコア]内で見知った人物だった。
リュート王子とサレンさん。2人が俺達を見つけた。
サレンさんは女性だから、男だらけの集団になるのは避けられた。

だからって、俺達は安心できる状況に立てた訳ではない。
明るいだけの空間に、4人が彷徨っているだけ。
まずは脱出を考えないと、俺達は一生このままかもしれない。
「少し周辺を調べましょう。何か手掛かりでも見つけないと。」
「そうですね。」
サレンさんの提案に全員が一致して、移動を開始しようと決めた。

そこに、制止の声が流れてきた。
『待ちや。探索しても、ここに出口はあらへんよ。』
特徴的な方言で話す、男の声だった。
[ラストコア]に来てから、いや公園での襲撃事件の時から…何度も耳にした男の声。

「武人、兄ちゃん?」
『そうや。ま、何度も会ってたらすぐにわかるか。』

ただでさえ明るい空間なのに、眩しい光を放った。
咄嗟の反応で、俺達は腕で両目を守った。失明を防ぐために。
17/37ページ
スキ