14・忘却の日(終)

兄貴が言った。兄貴としては、俺達の対応と同時進行で王子達と掛け合ったんだなあと、想像したんだろうな。
そう考えると、アレックスさん大変だと心配してしまう。

「私は一般的な教養のみ、サレンは技術士官なのでな…。
限られた人員で専門的な情報を入手する事になり、断片的ではあるが…。」
王子は言葉に詰まっていた、ように見えた。
次に話そうとした内容に、マズい事でも入ってんのかな?と俺も兄貴も思ってた。

困惑気味の王子だけど、続きの内容は話してくれた。
「些末な事柄でも触れたら申し訳ないのだが…。
和希、勇希。君達の両親はどのような人物なのだ?」
「え…。」
俺は戸惑ってしまった。
ここでいきなり、俺達の家族について触れてきたから。
「祖父母と一緒に暮らしているって…。」
「ああ、そう言えばゆっくり話す機会がありませんでしたね。」
動揺する俺の隣で、兄貴が代わりに言った。
連戦続きで話してないか、と振り返って思った。
「勇希が言ったように、俺達は現在祖父母と暮らしてます。
父は健在ですが、単身赴任のような形で仕事してまして…実家には中々帰りません。」
「母君は?」
母君…お母さんの事か?
何で王子が深く聞いてくるんだろうと、俺は混乱していた。
兄貴も、ああ…と頭を掻きながら説明を続けた。
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