14・忘却の日(終)

「世界中の著名な研究者達を集めて、アイデアを出し合った。」と答えたんだ。
他には、遭遇した[宇宙犯罪者]の名前や、俺達の最大の敵勢力を未衣子に言ってもらった。
勉強していた妹は、スラスラと答えた。
クーランの名前すら、きちんと言ってるのに…。

「本当に知らないのかよ?」
「だから、知らないって言ってるじゃない。」
口論の時を引きずるように、未衣子は俺への対応が強かった。
「《武人兄ちゃん》だけ、覚えていないのか…。」
うーんと兄貴は悩んでいた。
右手の親指を顎に当てて考えた兄貴は、とりあえずの提案を出した。

「アレックスさんに聞いてみよう。」
他に方法が思いつかない俺達は、兄貴の提案に乗る事にした。
未衣子は…身体に異常は感じないよ、って首を傾げていた。

そして、今に至る。
アレックスさんは検査の一環で、妹の見る夢を調べようとした。
それが、未衣子が今綴っているノートだった。

地球に降り、もう3週間が経った頃だ。
【パスティーユ】のパイロット期間は、延長しても3ヵ月が限界で。
クーランも倒したし、現時点では新勢力の反応はなかった。
アレックスさんを通じて敵を察知しているのか何度も兄貴が聞いていたが、彼は首を横に振るだけ。
だから、本来なら俺達は契約切れで家に帰ってもいいんだ。
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