13・奪還の日

☆☆☆
搬入口を強行突破して、研究所の中に入り、暗闇で何も見えないから灯りをつけたのだけど。
中は普通の通路のようで、無機質な床と壁と天井しかなかった。

搬入口って言うから、下に車輪の通った跡でも残ってるんじゃないかなあ…と勘くぐってたんだけど、床は綺麗だった。
『我らのように浮遊して進む機械族もおりますし…。今までそちらで物資を運ばれたのでしょう?』
『ブースターを使用していれば熱で凹みそうですけど…石でも埋め込まれているのですかね?』
『石でも溶けるんじゃねぇの?』
残存兵と兄達が道中で話をしていた。
あまりにも通路が綺麗すぎたから。
潜入調査とか捜査ってこっそり遂行するんだから、基本的には静かに行動しないといけないのだけど。
こうも綺麗に整備?されているような状態では、何の為に建設されたのか疑問に思ってしまう。
自動の地図作成ツールで通路内の道筋を記憶させながら、こういう疑問を呟いてしまった。
私達の疑問に、残存兵の1人は自身の考察で答えてくれた。

そうこうしているうちに、限界がやってきた。
【パスティーユ】全体のエネルギーが枯渇したとか、地図データの作成でデータの容量が満杯になったとかの理由ではない。

狭い空間の中では当然、《行き止まり》という壁が存在する。
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