13・奪還の日

☆☆☆
「遅くなってごめんね!兄ちゃん!」
『かめへんよ。本来は俺らでケリをつけるつもりやったけど、意外に厳しくてな…。』
『とりあえず、予備を使用せずともクーラン戦は凌げるとアレックスさんが言ってました。』
『そうか…。それやったら俺と君らだけで最後は締めていこうな。』
武人兄ちゃんは他の人達に戻るよう伝えた。
宇宙船内の待機中でも、激しい戦闘で皆消耗していってるのは、映像でわかっていた。
勇希兄ちゃんは行かせてくれ、と吠えてたし、和希兄ちゃんも技術士さん達に出撃許可を伺っていた。
私は2人みたいに口出ししなかったけど、内心不安だった。

やっと通常分のエネルギーが満タンに回復され、機体の微調整も終了し、再出撃が許可された。
直前の糸を吐く攻撃が厄介だった。出撃前に、武人兄ちゃんの元へ辿り着く前に宇宙船ごと破壊されるかもって。
私達がここで帰れなくなるんじゃ、と心配になって。
土星圏の宇宙船が落ちたのを聞いて。
奇跡的に糸を吐く攻撃から回避できたのは、私と兄達だけにとってだけど…よかった。
こうして武人兄ちゃんと共に戦えるのだから。

『[フィルプス10]…。』
「…兄ちゃん?」
『なんでもあらへん。最初のクモから分離してても、図体はデカいな。
【パスティーユ】の10倍はあるやろう。』
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