13・奪還の日

クーランは笑うだけでなく、語尾も若干伸ばし気味に話した。
『ホンマにしつこい奴やな、お前。』『褒め言葉としてとってやるよ。』
【ブラッドガンナー】は鞭攻撃をスルッとかわして、見た目は無事だった。
だが武人の身体自体は…手を施したクーランならば《むせる》原因を知っていた。
『ラルクには劇薬を投入したんだ。
次の一撃でお前らをバラバラにしてやるよ…!?』

巨大グモから分離した飛行物体が2度目の糸の鞭攻撃を繰り出そうとした。
残酷な糸は、二度と吐かれる事はなかった。
淡いピンクの光の弾が、飛行物体の所々に撒き散らしていた。
物体の動きを封じた。
『ぐおおおお!?』クーランは光の弾で痺れて、悲鳴をあげた。
弾の威力は弱まっていき、彼は再び喋った。
『な、なんだぁ…?』
『万全な状態に回復したんやな?』武人が呟いた。
《自慢の息子》の声を、クーランは聞き逃さなかった。
『一体、誰の事だ?』彼は武人に聞いた。
クーラン本人の頭脳なら、あらかたの予想はできたのだが、敢えて聞いた。

武人は平然と答えた。
『お前が恐ろしいと思ってる地球人。』
遠方から再度、光の弾が放たれた。
同じように飛行物体のクモ型ロボはダメージをくらった。
飛行グモは思い通りに動けず、喋る事もできなかった。
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