13・奪還の日

糸の鞭攻撃は、[ラストコア]側全体にまで及んだ。
擦り傷で耐えた宇宙船もあれば、直撃し落ちた宇宙船もあった。
巨大グモの約半分以下のサイズしかない飛行物体なのに、脅威的な攻撃を発揮する余力を残している。
[ラストコア]の面々はクーランの凄さを改めて実感していた。

鞭攻撃が収まって、少しだけ宇宙に静けさを取り戻した時。
宗太郎は被害状況の報告を徹底的に行った。
彼以外にジェームズやアレックスはまだ健在していたが…土星圏の宇宙船達は壊滅的だった。
宇宙船の機能をフルに駆使できる船は、土星圏だと[フレアランス5]のみだった。
地球側も被害報告があった。
落とされた報告は少ないが、2隻の宇宙船は危篤な状態で、帰還が困難になった。
戦闘後に乗組員を他の船に移動させなくてはいけなかった。
【軍用機】も1機、撃墜状態でパイロットを脱出させた。
他の1機が猛スピードで健在な船へ避難させた。
全体が危機的状況抱えている中で、決して安全とは言えないが。

『ヘッヘッヘッ。油断は禁物だと教わってこなかったのかぁ?甘ちゃんだなぁ。』
クーランの笑い声が聞こえた。
『ラルク以外は凡人だらけだなぁ。もうちょい待機するもんだろお?
まぁ、数回やっただけでボロが出てるもんなぁ…。』
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