13・奪還の日

『民達が巻き込まれてないといいのだけど…。』
「今は避難していると信じるしかない。最初は交渉に応じる予定が、有無を言わさぬ奇襲を仕掛けられたのだからな。」
『予定、狂ったしね。』
リュートとサレンは、タレスの燃え盛る姿をただ見ているだけだった。
クーランは暫く苦しむだけだろう。
自軍のロボや残存兵のHR達が戻ってきた。
クーランも、タレスにも存在するだろう防衛機関も、うまく機能が働かなくなった。

炎が沈静化するのを、[ラストコア]側全体が待っていた。
戦力を出し切ったロボは調整の為に、宇宙船へ収容された。
残存兵達は未だ出ているが、呼吸が乱れていた。
リュート達のコックピットには心拍数などを測る、健康状態の精査機能も備わっていたから、把握できた。
燃え盛る炎も永遠ではない。時間が経てば、徐々に鎮火していく。
自動的に消火装置が作動しているのか、そのスピードが早かっただけだ。

下火になり、煙の上がった巨大グモが姿を見せた。
巨大グモは元々黒いボディだったので、焦げているのか区別できなかった。
足の動作が微塵も感じられないので、巨大グモに強大な炎は効いたのだと思われた。
胴体内部の右側…心臓部のエンジンらしき装置に、【ホーンフレア5th】の放った槍が貫通していた。
巨大グモへ見事に命中した。
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