13・奪還の日

光の輪は線を太くし、やがて槍を覆うような姿に変化していく。
槍が緑の光の尖った棒へと変貌した。
炎のように、槍の周りが激しくうねりを上げている。
【ホーンフレア5th】手指の耐久性も、限界がやってきた。
「サレン!まだ照準が合わんか!」
『もう少しの辛抱よ!』
【ウインドアーチ】のコックピットには、照準用のスコープも備わっている。
サレンはそれを使いながら、標的の照準を合わせた。

『今よリュート!』サレンが叫んだ。
槍を放つ役割はリュートだった。
【ホーンフレア5th】の隠されたレバーを彼は出した。
「発射!」彼は上部ボタンを押した。
光に包まれた槍は、勢いよく放たれた。
土台代わりの宇宙船は糸の鞭攻撃を逃れる為に後退している。
巨大グモとリュート達の距離は、ロボ達の中で一番離れているだろう。

遠距離と感じさせない程、光の槍は一瞬で巨大グモに直撃した。
巨大グモは胴体内部を刺され、燃え上がった。
緑色の炎で巨大グモの姿が見えなくなった。
炎は一気に燃え移り、巨大グモの周辺も火があがった。
遠く離れた宇宙船からでも、火星圏タレスの表面の半分が燃えていると視認できた。
『性能は既に知っているけど、改めて凄いわね。』
「ああ。クーランのみならず、手下も一気に焼失するだろう。」
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