13・奪還の日

宗太郎の目に映った今の戦況は芳しくなかった。
むしろ悪化していると見ていた。

まずは【パスティーユ】以外の[ラストコア]の主力機に代わる、アレックスのAIロボ。
敵のHRにより悉く落とされていき、アレックスは出撃の頻度を減らし、各宇宙船から直接射撃するよう切り替えさせた。
次に他星からの応援。
リュートの側近兵やビウスの残存兵達と、敵のHRとの力は互角だった。
AIと比べれば彼らはよく耐えている。
しかし、両者共に補給等の作業で撤退と復帰を繰り返し…精神的な疲労も溜まっていた。
前線に立てる面々がリュート達と彼らのみというのも、過酷さを増していた。
頼みの綱として期待されていたリュート達の【ホーンフレア5th】。
初めのうちは自前の槍捌きで敵を倒していたが、数が多すぎた。
そこで、味方を全員避難させ、【ウインドアーチ】と連携した超強力なアロー攻撃を放った。
この一撃で敵のHRとビーム兵器を大量に一掃したのだが。
タレス内部には、未だHR達が潜んでいた。
【ホーンフレア5th】を撤退させ、出港口に突入を図ったが。

銃という武器は、性能によっては果てしなく遠い距離でも発揮する。
姿の見えない出港口からビーム弾が放たれて、兵達に命中する。
数人が生命の機能を停止し、宇宙に漂った…。
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