13・奪還の日

『側近兵、残存兵!お前らは槍とか剣とか、自前の武器持っとるやろ?足を切り落とせるか?』
『…精一杯の努力はしますので!』
『それでええよ!お前らは切断処理をやってくれ!
俺と志願兵達で胴体をひっくり返すで!』
武人は大声でその場にいた味方の兵達に指示を出した。

ここで無駄話は終えた。
側近兵と残存兵はバラバラに散って、巨大グモの足の根元へ急いだ。
突然糸を吐いてくるかもしれない、と内心怯えながらも、必死に剣を振るって、槍を落とした。
HRや操縦ロボの相手よりも、強大な威力を発揮した。

意外と効果は出た。巨大グモは暴れ出した。
『ぐっ!足が不自由になったぐらいで、俺を落とせるか!』
巨大グモは糸のような鞭を再び吐いた。
足の不自由さが効いたのか…鞭の威力は衰えていた。

『今や、すぐひっくり返すで!』
武人は【コードW】に乗る志願兵達に言った。
志願兵達は黙って、胴体の下まで降りていった。
巨大グモの胴体と、タレスの壊された出港口の間に、ロボ1体は潜れる隙間があった。
このスペースを利用して、巨大グモをひっくり返すのだ。
『失敗したら埋め込まれるで。後がないと思いや。』
【ブラッドガンナー】と【コードW】は下に潜れた。
武人の声量がバレないよう、小さめだった。
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