13・奪還の日

武人は小さく呟いた。
思考を切り替えて、彼は出撃中のメンバーと宇宙船に指示を出した。
『宇宙船はもう少し後退や!
残存兵と側近兵、酷やけど俺と一緒に奴の注意を引きつけるんや!
志願兵は遠くから支援攻撃をかませ!』

『残念だなぁ。やっぱお前さんは隊長格以上の能力あんのによ。』
中年男の声が聞こえた。巨大グモの位置する地点から発した声。
武人は声の主が誰か、当然知っていた。
『…クーラン。』
『ヘッヘッヘッ。革命は自力で起こさんとダメらしいなぁ。』
武人は巨大グモの胴体に目を落とした。
真上に円形の透明の窓が存在していた。
クーランの居場所だろう。武人は推測していた。

『HRやない一研究者が身体改造を施したから言うて、勝たれへんで。お前、自滅する気か?』
『ほう…?宇宙船を落とされても、まだ余裕ぶっているのか?』

クーランは言い終わると、糸状の鞭を吐いた。
今度は数本吐き出しており、横糸を紡いで網を生み出した。
網目は細かくなり、気づいたら自分達が囲まれていた。
武人は粗い目のうちに網の外側に出ており、電撃トラップから免れたのだが。
『うわああああ!』
残存兵、側近兵の一部が網目を抜けられず、トラップに引っかかってしまった。
今の悲鳴は電撃で痺れて苦しんでいる事で発せられている。
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