13・奪還の日

通路の《行き止まり》だった場所までたどり着いた。
1人の残存兵が待機していた。

『ご無事でしたか!』
『まあなんとか…ゲホッ!』
「兄ちゃん!?」
『大丈夫かよ!』
『むせただけ言うたやろ?』
『…急ぎましょう。所々で爆発が起きています。』
残存兵が私達を先導した。
小さな事に気を取られる時間はないけど、残存兵の沈黙の間が気になった。
彼は武人兄ちゃんの異変に、気づいているんじゃないかと。

私は今、サブパイロットの状態で【パスティーユ】に乗っている。
脱出の合間に兄ちゃんと話もできただろう。
むせる姿を見せられたので、話はできなかった。
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