13・奪還の日

『ハハハ、そうだったな。』
和希兄ちゃんは軽く笑っていた。
この場にいる全員が、私の決断に賛同した。
あとやる事は、実践のみ。

壁の破壊活動は【サニー】が率先して行うから、【サニー】が先頭に立った。
その背後にビウスの残存兵2人が、少し距離を離して並ぶ。
『行くぜ!』
勇希兄ちゃんが叫ぶと、【サニー】の全身から半透明の炎が出てきた。
残存兵達はもう慣れたのか、凝視しないように腕で顔を覆う事はしなかった。

両腕を後ろに引いて、【サニー】は再び飛び跳ねた。
《行き止まり》の壁まで直進。
右手の拳と燃え上がる炎を前に出した。
壁は硬そうな見た目と違って、あっさりと破られた。
3機合体ロボットで突進しているような衝撃を加えているんだし、逆にこれで壊れなかったらすごいと思う。

壁を破ってラッキー、なんて喜んでる暇はなかった。
喜ぶどころか、落ち着いて情報を整理する時間も与えられなかった。
壁を破壊してそのまま奥へ入ると、【サニー】は動けなくなった。
全身に電撃ショックを浴びせられたからだ。

「きゃあああ!」『うわああ!』『うっ!』
反応は違えど、私達は声をあげてしまった。
電撃は止まる事を知らないかのように、強烈に流してくる。
【パスティーユ】は保つのかな…。
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