13・奪還の日

搬入口の中は、真っ暗で何も見えなかった。
モニター画面の映像も、ほとんど黒1色だった。

残存兵達がついてきたのは、音とデータ認識で確認できた。
コックピット内にいる兄達以外の顔がよく見えない。
『本当に…研究所の中でしょうか?』
和希兄ちゃんが疑問視するのには納得がいく。
突入前は地図上に《CLAN LABO’s》とデカデカと表示されていたのに。中に入ると《Unknown》の文字が赤く点滅された。
地図のデータも存在しない状況。

『せめて…灯りをつけましょう。
そのまま進むのは危険すぎます。』
残存兵の1人が捜索しやすくするよう示してくれた。
「灯り…。」『エネルギーを消費しやすいが…。勇希、どっちかの手でいいから、火を出してくれないか?』
『それで減らねえと思うぜ兄貴。』
勇希兄ちゃんはこう言ったけど、【サニー】の右手の手のひらの上に、火を出した。
ロボの手のひらの上だから、サイズ的に人間くらいのスケールだった。
残存兵達は自らの剣を手前に構えて、刃の部分を白く光らせた。

これで半径10メートルくらいの周辺の状態を把握できる。
今のところは、灰色の壁と直進できそうな暗闇がある事が判明しただけだけど。

『西条司令より、貴方方だけでも返さないといけません。
前後で我々は護衛します。』
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