12・潜入の日

勇希兄ちゃんに至っては眩し!とか叫んで腕で両目を覆った。
兄ちゃんの取った行動は正しかった。

尖った先から白い光が現れて…。
力を溜め込むかのように光は大きくなり…。
膨張して破裂したかの如く、白い光の球から同色の光線が発射された。
拡大映像のモニターだけ、点滅が激しかった。
私達兄妹はすぐに下に伏せた。
これ以上、あの白い花の群れを直視すると失明しただろう。

白い花として拝んでいた時、花は斜め前に向いていた。
白い光線は…一体何処に?

答えはあっという間に導かれていた。
だって宇宙船全域に、緊急事態の警報がやかましく鳴らしていたから。警報は何度も繰り返すから、戦況の概略も把握できた。
タレスに比較的距離の近い宇宙船が、ビームの攻撃を受けたと。

さらにタレスに咲かれた白い花達が次々と尖った宝石を露わにさせていた。もちろん、宝石からのビームは追撃に加担している。
白い花が群れを成すのは、重要な要素だったんだ。
ビームの猛攻撃に、いつかはダメージをくらう。
私達が乗る宇宙船も、地震のように揺れた。

「うわぁ!」私達は無意識に声を出していた。
窓がわりのモニターは宇宙の光景ではなく、この宇宙船の見取図が開かれていた。
右側のブースター付近に軽い被害が出たと、見取図で読み取れた。
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